出会い

このマンションは駅前の再開発で
龍夜がフロント企業の方で手がけた物件

 

5階までは広めのワンルームで単身向け

 

15階までは2LDK〜3LDKの
新婚やファミリー向け

 

16階から上は
基本的には組関係の人間や
取引のある会社の重役が
女を囲ったりしながら住んでたり
使ってたりする

 

龍夜の部屋は19階と20階
メゾネットになっていて
どちらの階で降りても繋がっているが

 

18階から上はセキュリティの都合で
別エレベーターでカードキーが無いと
乗れないようになってたりする

 

俺の部屋は18階の左のドア

 

右の部屋は本来なら
運転してた力也と双子の弟拓也が
使う予定だったが

 

駅前のこのマンションは
ファミリーが多かったりするから

 

地下とはいえ駐車場に
いかにもっていう黒塗りを
何台も停めるわけにいかなくて

 

力也と拓也は交代で
本家から車に乗ってくるから
一先ず空けとく予定だったんだけど

 

組長の知り合いが
どうしてもここが欲しいと頼んできたらしく

 

組長に頼まれて龍夜が了承した

 

名義は有名な会社の日本支社長になってるが
誰が住んでるのかは見た事ないんだよね

 

ってか愛人との密会用にでも
用意したのかなぁ
なんて思ってたりもする

 

地下からエレベーターに乗り
とりあえず龍夜の部屋に向かう

 

 

「龍夜 飯全く食って無かったでしょ
女将に頼んでおいたから
後で夜食兼つまみになりそうな料理
持ってくけど他に何かいる?」
ってオフモードで話してたら

 

 

ポーンって
エレベーターの到着音が

 

 

早過ぎない?
そう思って表示を見ればまだ1階

 

まさか奇襲?
龍夜がここに住んでる事を知ってるのは
限られた人だけだけど
万が一に備えて体制を整えて
龍夜の前に立つ

 

と同時にエレベーターの扉が開いた

 

 

俺の目に飛び込んで来たのは
敵じゃなく 女の子

 

まだ幼さが残るけど
キレイな女の子

 

俺もビックリしたけど彼女も
人が乗ってた事に驚いたのか固まってる

 

 

敵では無さそうなので
「乗らないの?何階まで行く?」
そう聞くと

 

『乗ります』
ってエレベーターへ入ってきた

 

「何階まで?」再度聞けば

 

表示ランプへと目をやり
20階が点いてるのを見たみたいで

 

『18階お願いします
あの…うえの階の方ですか?
18階に越してきた藤堂です
ご挨拶にも行かずスミマセン
宜しくお願いします』
とキレイな声と
可愛い笑みで挨拶してきた

 

こんな若い子囲ってるのか?
なんて思いつつ

 

「こちらこそ 俺は
18階の左の部屋に住んでる
山口光ですお隣さんだね
よろしくね」
と営業スマイルで返す

 

後ろから何故か
「チッ」という
龍夜の舌打ちが聞こえたけど…

 

「後ろにいるのが
20階に住んでる龍夜だよ」
そう紹介すると

 

彼女は龍夜の方を向いて
『18階の藤堂瑠羽です
よろしくお願いします』
とまたもキレイな笑顔で挨拶

 

龍夜の事だから
いつも通り無視すんだろうな
なんて思ってたら

 

「龍夜だ 宜しくな
るうって言ったか
こんな時間に1人で何してんだ」
そう話しかけた

 

ビックリし過ぎて龍夜の顔を
凝視しちゃったら
彼女からは見えない位置で
蹴りが飛んできた

 

龍夜の軽くは全く軽くないから
俺はいっつも傷だらけだよ…

 

『友達がバイトの帰りが遅くて
泊まりに来るので
隣のコンビニに飲み物とか買いに』
と言って持ってた袋を持ち上げた

 

「1人でか?危ないだろ」
なんて龍夜らしからぬ言葉

 

それに彼女はフと寂しげに瞳を揺らして
『一人暮らしなんで
日頃は夜に外は出ないんだけど』

 

そう答えて到着した18階で降りようとした