愛されたくて

小学校から
私は父の秘書である
三上さんのお宅にお世話になり

 

三上のおじ様
奥さんの絢子(あやこ)さん
お手伝いの麻美(あさみ)さんと
暮らしていた。

 

 

皆 親切にしてくれたし
何不自由のない生活だった。

 

でも
満たされなかった。

 

 

運動会や学芸会にも
父は来てはくれなかった。

 

 

三上のおじ様も忙しい人で
学校行事にはいつも
絢子さんと麻美さんが来てくれた。

 

低学年までは
周りの家族連れが
とても羨ましかった。
来年こそ父がきてくれる。
そう信じてた。

 

それも
4年も会うことなく
毎年
誕生日には

 

------------------------------

 

お誕生日おめでとう

 

何がいいかわからないから
何か好きなものを買いなさい。
足りないものがあったら
いつでも絢子さんに言うように。

 

------------------------------

 

クリスマスには
誕生日おめでとうが
メリークリスマスに
変わっただけのメッセージカードと

 

子供には不釣合いな
多額の現金

 

 

 

それしか
音沙汰のない父に

 

私は

 

愛されていないんだ

 

幸せな家族は夢でしかないんだ

 

そう思い知った。

 

中学卒業と同時に
私はお世話になった
三上のおじ様の家を出て

 

高校の近くに
独り暮らしをする事にした。

 

 

進路と独り暮らしの事を話すために
父に連絡が取りたいと
三上のおじ様に話すと

 

一度だけ父から電話があり

 

「瑠羽(るう)の望むようにしなさい。
出来る限りの事はする。
後の事は三上に任せるから相談するといい。
私は仕事で3年ほど拠点を海外にうつす。
三上は日本支社に残るから。」

 

と言われた。

 

 

会いたい。
私の母親は誰?

 

 

なんて

 

とても言えなかった。

 

無事 第一志望の高校に合格して
引越し先はどこにしよう?
なんて考えていたら
三上のおじ様から食事に誘われた。

 

お迎えの真っ黒の車に乗り
1時間ほど走ると
なんとなく見たことのある景色

 

どこだっけ?なんて考えていたら

 

「瑠羽ちゃんの通う高校の近くだよ」と
おじ様の声で納得

 

なんとなく
受験の時に通った気がする。

 

ほどなくして
「ほら ここが高校でしょ」

 

『あっ 本当』

 

「ここの道を真っ直ぐ進んで
歩いたら15分くらいかな?
高校の最寄駅わかる?」

 

『受験の時に通ったのでわかります』

 

「そっか」

 

なんて話してたら
すぐに最寄駅近くの
大通りへと車が着いた